今までの公務員の年金制度〜新年金制度。何が変わったのか?(国家公務員編)

今までの公務員の年金制度〜新年金制度。何が変わったのか?

 

2017年1月よりこれまで加入することができなかった公務員や専業主婦「確定拠出年金=iDeCo(イデコ)」(以下「DC」と記入)に加入できるようになりました。

 

 

次の3つが新たに変更されるポイントになります。

 

  1. 国家公務員も厚生年金の「被保険者」となります。
  2. (雇用された場合に加入する保険の総称、誰かに雇われる事によって給料をもらっている人が加入する保険です。)

  3. 共済年金の保険料が厚生年金の保険料と統一されます。
  4. 共済年金の職域部分が廃止されることともに新たに「年金払い退職給付」が創設されます。

 

表で公的年金制度をまとめると

 

公務員以外の方  厚生年金(被用者年金制度)+国民年金(基礎年金制度)
公務員(国家公務員、地方公務員、私立学校教職員共済)の方 共済年金(被用者年金制度)+国民年金(基礎年金制度)

                         

 

公的年金制度とはいま働いている世代(現役世代)が支払った保険料を仕送りのように高齢者などの年金給付に充てるという「世代と世代の支え合い」という考え方(これを賦課方式といいます)を基本とした財政方式で運営されています。
(保険料収入以外にも、年金積立金や税金が年金給付に充てられています)

 

 

以前の公的年金制度は

 

基礎年金制度

 

基礎年金は保険料を支払った加入期間が25年以上となる65歳以上の高齢者が受け取る公的年金。
支払いが免除される特例期間なども加入期間に含まれ、2016年9月分からは10年以上に短縮されました。平均支給額は約5万円です。

(国民年金)

  • 自営業、
  • 民間サラリーマン、
  • 公務員、
  • 私学職員、
  • 被扶養配偶者

も加入する全国民が加入しなければならない制度です。

 

 

それプラス被用者年金制度というものがあります。それは厚生年金(公務員以外の人が加入している年金)や共済年金(公務員が加入する年金)です。

今までの公務員の年金はどうだったのか、おさらいしましょう。

以前は

  • 国家公務員=国家公務員共済年金
  • 地方公務員=地方公務員共済年金
  • 私立学校の教職員=私立学校教職員共済年金

という具合に3つに分かれていますが、内容にはそんなに差はありません。

 

今回この3つが「厚生年金」に一元化された要因の一つに「公務員の年金優遇過」が指摘されました。

 

公務員の年金を運営している共済年金の保険料の半額は税金で賄っていました。因みに厚生年金の保険料の半額は会社が負担しています。

 

それが今回公務員も厚生年金に変わることにより民間サラリーマンと同じ保険料を負担し同じ年休給付を受けるという年金制度の公平性を確保することにより、公的年金に対する国民の信頼を高めるために、被用者年金制度の一元化を行うこととなりました。

 

表でまとめると

公務員以外の方  厚生年金(被用者年金制度)+国民年金(基礎年金制度)
公務員(国家公務員、地方公務員、私立学校教職員共済)の方 共済年金(被用者年金制度)+国民年金(基礎年金制度)

                                 ↓
                              共済年金が厚生年金に一元化   

公務員以外の方 厚生年金(被用者年金制度)+国民年金(基礎年金制度)
公務員(国家公務員、地方公務員、私立学校教職員共済)の方 厚生年金(被用者年金制度)+国民年金(基礎年金制度)

 

 

 

なぜ公務員が優遇されているといわれるのか?

 

共済年金には他にはないメリットがあるからです。それが「職域加算」です。これは文字通り年金の上乗せ制度であり、同様の制度は厚生年金にはありません。
この職域加算があるので、公務員や私立学校の教職員の年金制度は「2階建て」ではなく、「3階建て」だといわれたりします。

 

勤務年数が同じ会社員と公務員で比較すると最終的な年金支払額は同じになるはずですが、公務員には共済年金の「職域加算」がある分その分多く支払われることになります。

 

厚生年金にも、厚生年金基金など企業年金という上乗せ制度がありますが、厚生年金基金を設立するには所定の要件を満たす必要があるため、会社員の皆さんが全員、基金に加入しているわけではありません。

 

会社が厚生年金基金に加入していれば、厚生年金に加入している従業員は自動的(強制的)に厚生年金基金にも加入することになります。

 

厚生年金基金を含む「企業年金」とは、企業が従業員の老後の生活保障をより手厚くするために作られた制度です。その分年金をたくさん受け取れることになります。

 

表にすると年金は、以下の制度で成り立っていました。
<1階部分>

国民年金 国民年金

<2階部分>

厚生年金 国家公務員共済、地方公務員共済、私立学校教職員共済

<3階部分>

  公務員のみ職域加算

 

 

 

  • 共済制度は、中身に差はありません。しかし、厚生年金共済年金の間には、実は中身にちょっとした「差」があるのです。
  • 職域部分については、平成27年10月までに共済加入していた部分(旧職域部分)は基本的にこれまでどおり支給されます。
  • しかし平成27年10月以後の公務員期間(職域部分)は、「年金払い退職給付」という新たな年金となります。
  • 給付面の格差である「職域加算」についても廃止される予定ですが、「年金払い退職給付」という形に変わるものの、上乗せ部分が残ることになるようです。したがって、給付面について当面は格差の解消とはならないようです。

 

 

平成27年10月から共済年金と厚生年金が一本化されました。しかし統合後も、年金記録の管理、適用徴収業務、年金の支給等は今まで通り、それぞれの共済組合が行います。

 

 

これまで、公的年金の2階部分(被用者年金)は次の4つに分かれていました。

 

 

  1. 会社員が加入する「厚生年金」
  2. 国家公務員が加入する「国家公務員共済年金」
  3. 地方公務員が加入する「地方公務員共済年金」
  4. 私立学校の教職員が加入する「私立学校教職員共済年金」

 

共済年金と厚生年金には制度の格差が存在し、「官民格差」として批判がありました。
この「格差」を解消すべく平成27年10月から国家公務員、地方公務員、私立学校の教職員厚生年金に加入することとし、2階部分の年金「厚生年金」に一本化されました。
共済年金と厚生年金の制度間の差異については、原則として厚生年金に統一することにより解消するとされています。

 

 

今までにも共済年金制度の統合がありました。

 

  • 「日本国有鉄道」の「JR」、「日本電信電話」の「NTT」、「日本専売公社」の「JT」という公営企業だったわけですが、公営企業時代の年金制度はいずれも「共済年金」でした。この3社が民営化された後、1997年に厚生年金に統合されています。
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  • 農林漁業団体職員共済年金も2002年に厚生年金に統合されています。
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  • そして今回共済年金を厚生年金に統合する最後の総仕上げが、公務員共済年金の統合なのです。

 

共済年金加入者には年金手帳はありません

 

  • 共済年金加入者は現在においても年金手帳は交付されていません。年金手帳の代わりとして、「基礎年金番号通知書」が送付されます。基礎年金番号は、年金機構が管轄する年金手続きの際に必要となる番号になります。
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  • 「共済年金加入員証」は、取得日、喪失日が記載され、共済独自の番号が不審(ふしん)されているものです。共済年金手続きの際には、この番号で手続きをします。
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  • 共済年金加入者も国民年金加入者になります。国民年金の上乗せとして共済年金があると思ってください。ゆえに番号が、ふたつ必要なのです。
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  • 共済年金加入者の配偶者も3号被保険者となります。基礎年金番号は生涯利用するものですので、共済の3号から、厚生年金に変わっても同番号となります。

 

 

個人型確定拠出年金(愛称:iDeCo(イデコ))が公務員にも適用人なった理由

 

2016年10月の年金一元化で年金制度が民間の会社員などに比べて、有利だった公務員ですが、状況が変わりつつあります。
それに伴い2017年1月の制度改正により、これまで加入資格がなかった公務員や専業主婦(主夫)、企業型確定拠出年金がある会社員の皆様も、個人型確定拠出年金に加入できるようになります。

 

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